トランペッター・類家心平

2000年代初頭の東京

2004年頭に本格的に札幌から東京へ出てきて、その頃にたくさんの素晴らしいミュージシャンに出会った。類家心平もその一人だ。

2000年代当初は東京でもジャムバンドのムーブメントなんかも元気だったし、クラブミュージックも影響力が強くあった。

バンドとしてもジャズを主食にしている若いミュージシャンがどんどんはみ出そうとしている感じもあったり、今も活躍しているソイル&ピンプ・セッションズや、urbやgroovelineとかのインストでグルーヴするバンドが台頭している時代だった。

クラブでライヴをやるバンドもたくさんいたし、レイヴなんかもどこかで毎週行なわれてるんじゃないかと思うくらいあった気がする。もともとそんなにPartyPeopleではないが、東京に出てきた当初は週に3回くらいはオールナイトで出かけていて、死にそうになってた。

ジャムセッションもけっこう熱いヤツが都内のいろんなところであった。ライヴ上がりのミュージシャンがジャンル問わずいきなりそんなセッションにふらっと来てバシっと決めたりしていた。

来日中の海外ミュージシャンが連れられて現れたりというのもけっこうあったし、海外留学から帰ってきた人もたくさんいたし、けっこう国際的な感じもあって盛り上がっていた。

自分の場合は幸運にも渡米中に仲良くなったサックス奏者の佐藤勇氏(現在はトラックメイカー)が帰国後にurbに加入して、それでセッションに誘われたり、ライヴ見に行ったりというのが入り口だった。urbのトランペット奏者として同じタイミングで加入したのが類家君だった。

楽器一丁

基本的には寡黙な男である。
類家君は青森八戸からまさに楽器一丁で勝負しにきた感じ。
それで世代も近いしちょくちょく出会うし、同じ北国の人という感じもあって、よく話をするようになったのだった。

urb活動中から様々なフィールドで可能性を試していて、前口上は置いといて実行の人である。
その姿勢には常々関心していたし、音楽表現もすごくエッジーでカッコいいので、彼のライヴをちょくちょく見ている。

確か2006年くらいにはサンプラーを手元に置いて、VJとリアルタイムでの絵画を取入れた幻想的なLandscape Jazz Orchestraはテクノや環境音楽に大きく影響を受けつつ、トランペットでの音色とフレーズを試行錯誤するクールなユニットを展開していた。

ほぼ被ったタイミングで自身のカルテットを展開し、これは現在のギターを入れた彼のバンドの前身となっている。アルバムもリリースしていて、当時から彼らしい、低音の世界に熱いエネルギーがほとばしる音楽が楽しめる。

それで気がつくとジャズを根城にして、日本の音楽シーンを揺さぶる菊地成孔氏のバンドに参加していた。ダブセクステットやデート・コース・ペンタゴン・ロイヤルガーデン(あえてカタカナにしておこう)、、、。最近ではCu-Bupのアクセル・トスカとも菊地氏のバンドで共演したりしていて、気づくといたりする。

NHKのジャズフェスのニュースでもけっこう出ていたのを偶然みたりした。

昨年の夏に山下洋輔さんに東京Jazzについてのインタヴューさせていただいた。
その時に類家君の話をとても楽しそうに話していた。
類家君が自衛隊音楽隊の時代に共演した時の話をしてくれたのだった。
氏は思わず「東京に出てきなさい!」と声をかけた。
「自衛隊から引き抜いたら国のために良いのか悪いのか(笑)」という言葉は山下節だなあと思った。山下氏は愛ネコ家としても著名だが「ジャズマンもキャッツだからね 」とのこと。

他にも坪口さんとの東京ザビヌルバッハとか、Uja Binbin、大友良英さんの新しいバンドにいたりもする。

最近だと、ギタリストの井上銘君のStereo Champにも参加している。

リリカルかつ、鋭いトランペット。ひたすら音を追求しているようなストイックな佇まい。マイルスを敬愛しているだけあって、常にファッショナブルなところもある。

RS5pb

当初は札幌出身のハクエイ・キムをピアノに、ベースに鉄井孝司、ドラムに吉岡大輔という布陣でRuike Shinpei 4piece bandを形成。アルバムも「Distort Grace」「sector b」と2枚リリースしている。

その後、ピアノを同郷の中嶋錠ニ、そして田中拓也をギターに加えて5人編成になった。当初からライヴを見ていたが、このバンドは変化し続けている。ライブ録音での「4PM」は結構アグレッシブだ。

クリアで澄み切った透明感のある世界観を突如、ノイジーに色付けたりする。
ヴァイオレンスな世界をしなやかな身のこなしですり抜けていくようなトランペットを聴かせたり、時にはライフルよろしく音の銃弾で聴衆を打ち抜いてくる。

さらに上前はねる危ない音が「unda」

2017年の横浜ジャズストリートでの演奏を見たが、オーセンティックな演奏を期待する聴衆をアンスラックスばりのリフでつんざきつつ、最後は捉えて離さないアンサンブルが痛快だった。

レコードもある

アルバム『unda』はポストロックやモダンへヴィネス、パンクロックを見据えた反逆心とアーティステックな自己表現を音楽だからこその他者とのアンサンブルの中で見せる作品だ。

何より快感原則に乗っ取ったカタルシス溢れるサウンドが捻りを加えてやってくる。

類家心平カルテット

4月の末にBody&Soulでカルテットをやるというので見に行った。
おそらく5、6年振りじゃないだろうか。

中嶋錠二君のピアノでのカルテットは初めて。

この彼のピアノがなんともいえず、突き刺さる。
“ill”なプレイを見せたり、急に力強くなったりとイマジネーションが溢れていた。
エクセレント!

吉岡氏と鉄井氏のコンビネーションと対応力、そして攻める瞬間というのもまたスリリングだった。
腰の効いたサウンドで支えつつ、鉄井氏のベースはよく歌う。
吉岡氏はスーッと気持ちよく、柔軟なしなりのあるドラム。

田中氏を加えたときの5人での破壊力ある演奏とはまた違い、危うさを秘めた内省的なサウンドもあった。類家のトランペットが時に咽び泣くようでもあり、よりハードボイルドな感じのする演奏だった。オリジナルからスタンダード、ダスコ・ゴイコビッチまでを取り上げたのだった。

次のステップへ

もしかしたら、この人もライブジャンキーかも知れない。「すごいたくさんライブやってるよね?年間200本くらい?」と聞いたら「どうだろ?2年前の方が多かったよ」との回答。

GW中は九州と関東を行ったり来たりしていたような、、、

RS5pbがめぐろパーシモンホールで7月7日に行なわれるJazz World Beat2018に登場する。
ゲストにはいつもは彼のボスでもある菊地成孔氏を迎える。

その後、海外への動きもあるらしい。

 

(取材・文/鈴木りゅうた)

 

類家心平offical website

Jazz World Beat 2018

 

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