いろんな変化を強要されている2020年以降の世界。変化について考え、言いたいことだらけになってていたらこのサイトの更新もせず過ぎてしまい、あっという間に終わってしまいました。
ルワンダでのフィールドワークを背景に制作された今沢カゲロウの『takteq reta/タクテクレタ』はコロナ禍でのリリースとなりました。今沢氏も8月には代々木のハコギャラリーで演奏をしたりとライブがポツポツ再開と思いきや再びの緊急事態宣言。
その後、ものすごい勢いで絵画を弾いてベースを描いていたと思ったら「オンライン全国ツアーやります!」という連絡あり。
「え、オンライン全国ツアーってどういうことなの?」
『takteq reta/タクテクレタ』ではライナーノーツを書かせていただきましたが、今沢カゲロウの歴史とは軸のブレない進化の歴史かもしれません。ただし、進化の方向性は予測不能。
ちなみにこの作品は2020年9月の日本の「iTunes インストメンタルトップアルバム」で8位。中国でも年末に38位となっています。
オンライン全国ツアーがすごく2020年代
2021年もエンターテイメントにとっては歯切れが悪く、重苦しい始まり。年間300近くの公演が活動の母体だった今沢カゲロウはオンラインに活路を見出そうと動き出している。その回答の一つがこのオンライン全国ツアーなのかもしれない。このプロジェクト、今沢カゲロウの音楽性が持つサイファイ感が予想を超えるフィット感を見せている。
ShowroomからZoomへ
アルバムリリース後に気がつくと昨年後半くらいからShowroomという動画配信サイトで、ものすごい勢いでベースの独奏をし始めていました。そのうちベースのヘッドに筆をつけたりして絵を描いたり。
この3行だけを読むとものすごくおかしなパフォーマンスで、まあ、実際おかしいのだけれど、変に完成度が高く「笑っちゃいけない何か」を感じさせる領域まで行くのが今沢カゲロウ。
まあとにかく4時間くらい平気でやってるからすごい体力です。P-FUNKのライヴ並みにやってる。2020年にライヴで発散できなかったものを一気に放出して、さらに何かを見ようとしていたのだろう。
それが突如2月の中旬に「全国ツアーをオンラインでやります」という謎の宣言。最初はああ全国ツアーやるのか、もう我慢の限界だよね、、、と思っていたらなんか違うみたいだった。
2/22から47夜連続のサイバー演奏会
初日は2月22日(ねこの日!)。場所はZoomという名の青森県からという。背景は弘前の夜を写し、そこで約2時間の演奏とペインティングを実行。その中では青森にちなんだ即興的な演奏を30分程度見せるという内容だった。
その後、トップ写真は山梨県の日のものだが、これを実際に見た、というより体験した。演奏も相当サイバー!画像との一体感とか、演奏のエッジーさがShowroomで見たものと違った。とにかくソリッドでハイパースペースを通って、演奏場所と山梨が繋がり全世界に繋がっているようなSF感。
Showroomでは定番となっているプログレカバーはされず、メタリックでデジタル感、スピード感溢れる演奏はド肝を抜かれた。なんとなく関東近縁の都市に見られる独特の退廃的な空洞感なども感じさせる。実際に足を運んだ経験と、今沢カゲロウならではのインテリジェンスやユーモアも匂わせる内容だった。
画像は名物や名所ではなく、季節感も意識し、印象的で想像力を掻き立てるものをチョイスしている模様。ちなみに山梨では森を逆さに移したもの。森林の孤独感がムードを高める。中には氏のキャリア前半の楽曲を観覧者の要望に応えて演奏する場面も。
「この後、関西とか、南に向かうとどうなるんでしょうね(笑)」ということだが、この記事を書いている時点で今は関西に突入したばかり。
しかし、この人、やっぱり道なき道を走っている。もちろん音楽は生で体感するのが最高ですが、いろんな選択肢が育っていくことは素直に歓迎したい。
Showroomは現在不定期ながらほぼ毎日登場。プログレやハードロックカバーなどもベース一本で演奏し、こちらはリラックスした宴会。
なお全国ツアーの日程や詳細はnoteにあります。
全国47都道府県を弾く ”完全即興ツアー”全公演スケジュール
今沢カゲロウの過去記事
今沢カゲロウー進化を続ける男Vol.1
「兆」→BASSNINJA重低音合奏式-今沢カゲロウ Vol.2
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